新入社員を定着させ、戦力として独り立ちさせる秘訣~その考え方と仕組み

新入社員を定着させ、戦力として独り立ちさせる秘訣~その考え方と仕組み



新入社員の定着や育成は思うようにできていますか?

新入社員が定着しない、力をつけないという悩みや課題意識をもった企業は少なくないようです。
私の関与させていただいたある企業では新入社員の1年目離職率が驚愕の45%でした。
そこまでではないものの、何とか定着させ、早めに力をつけて独り立ちさせたいと考えていませんか。
そこで、先ほどの紹介企業もそうですが、多数の企業で大きな効果を上げた仕組み『ブラザー・シスター制度ブラス』を紹介します。
単に、ブラザー・シスターと新入社員との1対1の関係だけではなく、職場全員で育てる風土を醸成する、その考え方と取り組む際に周囲の社員を巻き込むワーク、効果的なツールの活用、そして、よい関係性を築くためのコミュニケーションの取り方、いずれも欠かせない大切なポイントをお伝えします。
あなたの会社の新入社員の定着・育成にお役にたてれば幸いです。


離職率40%超が10%未満に~導入した仕組みは『ブラザー・シスター制度プラス』

新入社員の定着しない企業の今後~グラフ「年齢別人口増減率」にみる新入社員獲得大競争時代
人事ご担当の方は、採用が難しくなってきていることは実感されていると思いますが、雇用状況はこれからさらに悪化します。
次のグラフをご覧ください。
今後10年、20年経つと人口はどのようになっていくでしょうか。
 
図1.年齢別人口増減率

特に見ていただきたいのは15~64歳です。
働き手の中心となる年齢層がこれからますます減少します。
その減少幅の大きいこと。
今から、20%以上も少なくなるわけです。地方によっては30%を大幅に超える減少となります。

今でも人手不足の状態にもかかわらず、さらに深刻な事態で『人材獲得の大競争時代』となるでしょう。
そうなってからでは手遅れです。

今から本腰を入れて対策を打っておかなければいけません。
人が獲得できなければ、事業を縮小していくことになるでしょう。
または、倒産・廃業することにもなってしまうかもしれません。
その対策を進めていきましょう。

そう言うと、採用活動を強化しようと考えると思いますが、私は逆から考えた方がよいと提案しています。
社員の定着・育成です。
社員が定着しない、育たない企業に就職者は集まるでしょうか。

社員が定着して、成長し、各社員がやりがいを持ってキャリアアップしていることを人材獲得が出来ている企業は求職者に上手くアピールしています。
アピールしていない企業には不安や疑問をもってみられていると思います。
「この会社ならしっかり育ててもらえそうだ」そう思ってもらえる環境を作ることが対策としては先です。

そこで、新入社員の定着・育成に最適な『ブラザー・シスター制度プラス』をご紹介します。

ブラザー・シスター制度プラスとは

ブラザー・シスター制度プラスとは
ブラザー・シスター制度とは、新入社員と同じ部署の先輩社員を兄(ブラザー)や姉(シスター)と見立て、一定期間、新入社員1人ひとりに仕事の進め方・心構えの指導などOJT(on the job training)に加え、職場や社会人としての生活における不安や悩みに対して相談を受けたりアドバイスをしたりする制度のことです。
 
ブラザー・シスター制度は、一般的には、指導役には新入社員と年齢の近い先輩社員が任命され、新入社員1人につき先輩社員1人が指導役としてつく体制をとります。

一定期間とは、新入社員がある程度独り立ちができるまでの期間ですが、業務の内容や社員体制などによって異なります。
6か月間や1年間を設定している職場が多いと思いますが、3か月と短いところもあります。
業種や職場によって適切な期間をご検討ください。
取り組みを重ねることで適切な期間の長さがご理解いただけるでしょう。

「そんなにかかるのか? もっと早くならないのか!」
そう思う管理職や先輩社員もいるでしょう。
人手不足の職場では、つい早くと思ってしまいますが、焦りは禁物です。
早く、早く!と要求を高めると新入社員には大きなプレッシャーとなり、逆につぶれてしまうことになります。
あなたの会社では、そのような経験はありませんか?

ブラザー・シスター制度を導入することで得られる効果を次のようにまとめると次のようになります。
1.第一義的な効果
① 新入社員の離職防止、定着率の改善
② 新入社員のスムーズな業務習得

2.関連効果
① 新入社員定着のための職場環境整備。特に、指導教育体制の構築又は改善
② 管理職、先輩社員における新入社員育成のための心得、考え方の理解
③ 新入社員育成のためのノウハウ、ツールの獲得
④ ブラザー・シスターの指導力向上、コミュニケーション力アップなど自身の成長

一般的には以上の内容で「ブラザー・シスター制度」を運用されていると思いますが、私はそれに次のことを付け加えて『ブラザー・シスター制度プラス』として取り組まれるようお勧めしています。
その『プラス』の内容についてご説明しましょう。

3.プラス効果
<職場全体でのコミュニケーション改善>
ブラザー・シスターと新入社員の1対1の関係がいくらよくてもそれだけでは、新入社員は定着しません。
周囲の社員も一緒になって育成することが大事です。
ブラザー・シスターと新入社員は、常に行動を共にしているとは限りません。
ブラザー・シスターの先輩が会議やプロジェクトに出席したり、年次有給休暇で休むこともあったります。
勤務シフトの関係で働く時間が別々になることもあるでしょう。

ブラザー・シスターが不在で新入社員が一人のときに、ブラザー・シスター以外の周囲の先輩社員がサポート・フォローするような体制になっているか、コミュニケーションができるかが、新入社員の定着には大きく影響します。
 
新入社員を放ったらかして声をかけない、無視する、失敗したり出来ないことを咎めるようなことをしていれば、新入社員は辛く感じ、安心して働けません。
職場全員で新入社員を育成するその理解と育成へ協力する体制とコミュニケーションの取り方をすること、ここがポイントです。
この取り組みを加える意味で『ブラザー・シスター制度プラス』としています。

新入社員の離職率の改善ポイントとは?~新入社員を知る

新入社員の強み、弱み、特徴~新入社員の意識調査から
制度解説をする前に、新入社員の特徴について、株式会社マイナビが実施した「新入社員の意識」調査からつかんでおきましょう。
https://hrd.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/2019-04ishiki.pdf

図2.あなたが今、会社で発揮できる力は.jpg

「あなたが今、会社で発揮できる力は?」という問いに対して
① 物事に進んで、取り組む力
② 相手の意見を丁寧に聞く力
と半数の新入社員が答えています。

これから自分に必要だと思う力は

一方、「2.これから自分に必要だと思う力」については
⑦ 自分の意見をわかりやすく、伝える力
② 他人に働きかけ巻き込む力
 
が、今は弱い、力をつけていきたいと考えています。
あなたは、調査結果をどう思いますか?
新入社員や若手社員がいる場合、当てはめて考えてみてください。
相手の話を聞いて、主体的に取り組む真面目さを感じますが、一方、伝える力、発信力は弱い、なかなか声が出せない。
そこをつかんでおく必要があります。

ところで、この傾向は新入社員だけですか?
私は企業で階層別の研修も携わっていますが、実は中堅社員も同じように「伝える力、働きかける力」が弱い、それが課題だという人がたくさんいます。
ブラザー・シスターになり新入社員の指導などの役割を担当すると、伝える力や周囲の先輩・同僚に働きかける力を養えます。
この制度は、単に新入社員だけのものではありません。

 
ブラザー・シスターも育てます。

上司や先輩から特に指導してほしいこと

「7.上司や先輩から特に指導して欲しいことは?」
上司や先輩から特に指導して欲しいことは?
 
① 仕事の進め方や基本が一番多いことがわかります。

アンケート結果からは、まずは仕事の進め方や仕事の基本的なことを教えてもらい、しっかり身につけたいと新入社員は思っています。
ところで、この基本は、ベテランの皆さんにとっては当たり前のことだと思いますが、新入社員にとっては当たり前ではありません。

例えば、
・営業訪問時の立ち位置やふるまい方
・報告書の書き方、提出のタイミング
 
さらに言えば、
・名刺交換の仕方
・電話の受け答えの仕方
・挨拶の仕方 など
 
これらのことをしっかり理解しておいてください。
それぐらいはわかるはず、できるはずと考えないでください。

就職前に参考書やセミナーで勉強してできると思っていた基本的なことも、実際の場面になると新入社員は上手くできない、失敗することがあります。
失敗することはとても大事ですが、失敗からの復活を新入社員任せにしない方がよいと思います。

リアリティショック~ブラザー・シスターの最初の役割

ブラザー・シスターの代表的な役割を、ここで一つ紹介しましょう。
新入社員は失敗したことで、リアリティショック(※)を受けることがあります。
そこで、新入社員が受けるこのリアリティショックを低減させ、スムーズに職場適用ができるよう支援するのがブラザー・シスターの一つの役割です。

※リアリティショックとは、
新入社員がもっている“期待や理想”と“現実”との間に生まれるギャップにより衝撃を受けることで、入職前のイメージと実際 働き出したときの違いを消化しきれずに、喪失感を持ったり、希望を失ったり、最悪のときは離職したりすることです。

例えば、セールストークの練習を重ね、できると自信をもって会社の得意先へ営業したのに、相手から想定外の鋭い質問を重ねてされ、たじたじの状態になり、まったく予定通りのトークができなかった。
専門学校でパンづくりを勉強してきたのに、成型に手間取り、焼成のタイミングを外すなど現場のスピードに追い付けなかったり、売りに出せないパンを作ってしまったりして自信をなくした。
介護の現場で、着替えを手伝っているときに、利用者から「痛っ」と言われたり、手を払われたりしたときなどは、自分のスキルのなさにリアルなティショックを受けてしまいます。
また、苦情やクレームを新入社員一人のときに受けてしまうと、どう対処したらよいかわからず、落ち込んでしまうこともあるでしょう。

実際、リアリティショックは避けて通れません。
しかし、そのときのサポートやフォローの仕方次第で新入社員の定着は大きく変わります。
放置したり、非難したりすれば定着は難しくなるでしょう。

新入社員は誰に相談したらよいのかわからないし、忙しく動き回っている先輩を止めて聞くのも遠慮するものです。
結局、新入社員が一人で悩みを抱え込んでしまうことになってしまいます。

そうならないように、相談相手を明確に決めておきましょう。
新入社員の相談窓口、精神的なサポート支援をブラザー・シスターにおける役割の一つとして明確に位置付けておきます。

新入社員はなぜ辞めたか、定着したか~職場での指導の「失敗事例・成功事例」

今度は、“職場における”新入社員への指導の『失敗事例・成功事例』を考えてみることにしましょう。

A)まずは、“職場における”新入社員への指導の「失敗事例」
研修やセミナーでワークをすると、次のような意見がよく出てきます。

① 指示されたことが出来なかった新入社員の話を聞かずに、一方的に叱責してしまった。
② やる気を削ぐような言動をした。大学出ているから、これくらい知っているでしょ!とつっけんどんな態度をとった。
③ 指導期間が短すぎた。1か月間しか指導期間を設けず、1か月を過ぎたら、もう全てのことはできるでしょ!という態度でプレッシャーを与えた。
④ 指導時間が少なかった。ブラザー・シスターと勤務のシフト合わせをしなかった。
⑤ 見て見ぬふり。新入社員が困っているのに見て見ぬふり。
⑥ 先輩のやり方が統一されていない。言うこと、やることが教える人によって違う。

この⑥は非常によく出てくる事例です。
ブラザー・シスター制度がない場合、例えば、ある仕事に対して
A先輩はAのやり方
B先輩はBのやり方
C先輩はCのやり方

そして、A先輩のときにBのやり方をすると怒られる。
「教えたことと違うじゃないか」と。
B先輩も、C先輩も同じ。
こうなると先輩の数だけやり方を覚えなければならなくなります。
入職して間もなくの精神的にいっぱい、いっぱいの状態のときに、そのような負担をかけると潰れるもとになります。
指導の仕方を統一させておくことが必要です。

B)次に、“職場における”新入社員への指導の「成功事例」
B)次に、“職場における”新入社員への指導の「成功事例」
 
① 職場の皆から声かけをした。挨拶はもちろん、新入社員が迷ってそうだったら先輩社員から積極的に声かけをした。
② 指導の仕方や目標を明確にした。マニュアルがあり、それにもとづいたやり方を基本とし、出来る限り統一した、指導をした。
③ 新入社員が話しやすいような雰囲気づくりをした。業務のことだけではなく、趣味の話を聞いたり、スポーツ、食事会を通じて仲良くなったりした。
④ 精神面への配慮もした。注意する場合、いろいろな人から、ではなく、特定の社員・ブラザー・シスターからしてもらうようにした。
⑤ (シフト制のある勤務の場合)新入社員と1対1の体制をとった。ブラザー・シスターの勤務シフトを調整し、職場の仲間も協力した。

事例から、どのようなことが失敗の要因だったのか、定着・育成につながったのは何だったのかを具体的に検討してみることがポイントです。
そのことを後々に活かしましょう。
失敗事例を繰り返さない。
成功事例を次にも同じように活かしてみる。
自分の職場だけではなく、会社の他の職場でも横展開して活用してみてください。

もちろん、新入社員は誰もが同じではありませんので、これをすることによってすべてが上手くいくとは限りません。
しかし、現場で話を聴くと、同じような失敗を繰り返しているとよく耳にします。

忘れていませんか?~「あなたも新入社員のときがあった」

もう一つ、振り返りをしてみましょう。
あなたも新入社員(社会人1年生)のときがありました。当時を思い出してみましょう。
A)働きやすかった、やる気が出たのは、どのような職場だったでしょうか?
逆に、B)働きにくい、やる気が失せたのは、どのような職場だったでしょうか?

A)働きやすかった、やる気が出た職場で出てくる意見としては、
① 先輩達がよく声掛けをしてくれた。
② 小さな仕事でも認めてくれた。
③ 一貫して指導してくれた。ブラザー・シスターが担当としてついてくれた。
④ わかりやすい指導をしてくれた。
⑤ 同期と悩みやいろいろな相談ができた。

B)働きにくい、やる気が失せた職場では
① 「そんなこともできないの」「ダメ」など否定やマイナスの言葉だけが続いた。
② 理由がわからずに怒られた。
③ 先輩の説明がわからなかったが、質問できなかった。
④ 教えてくれない。先輩の動きを見て覚えろとだけ言われた。
⑤ 同僚同士お互い悪口が飛び交っていた。影響力のある社員の機嫌次第で、その日の職場の空気が変わった。

あなたも似たような経験をしたことがあったのではないでしょうか?
あなたも新入社員のときがありました。
自分が新入社員のときのことや感覚を思い出して、働きにくい、やる気が失せた職場の要素があればなくし、働きやすい、やる気が出る職場を作るよう改善していきましょう。

新入社員を迎えるときに、ブラザー・シスターだけではなく、職場の皆で、一度この振り返りをすると受け入れ態勢が整いますので、ぜひ、やってみてください。
新入社員が配属されるとすぐ仕事を教えようとしますが、仕事を教える前に、受け入れ態勢を整えておきましょう。

具体化、標準化、見える化~ツールのメリットを最大限活用

山本五十六の名言を活かしたツール~スモールステップで自信をつけさせる

新入社員の受け入れ態勢が整ったら、仕事を教えるステップに入りましょう。
新入社員が目標に向かって着実に力をつけるために、ツールの活用をお勧めしていますのでご紹介します。


新入社員が習得する業務を課題として整理し、それをチェックリストなどのツールとして作成してみてください。
そのツールの例と活用時の指導の方法を解説します。

チェックリストにもいろいろなものがありますが、今回、紹介するのは、山本五十六の名言を利用した「新入社員習得 課題チェックリスト」を紹介します。
経験豊富な方はご存知の方も多いと思いますが、人材育成に関する山本五十六の名言
「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」
これを活かしたツールです。

課題の習得ステップを細かく分け、課題ごとに「見学する」「説明を受ける」「実践する」「完了」に分けて確認します。

図5.山本五十六の名言を活用したツール

では、その一つひとつのステップを解説しましょう。
まずは、「見学する」・・・山本五十六の「やってみせ」にあたる部分です。
口頭で説明したり、マニュアルを確認させたりしても、実践のイメージが具体的につかめなければ、新入社員の頭の中は、ぼやっ(漠然)としたままです。
まずは、ブラザー・シスターや先輩がやっているところを見せて、具体的な実践の一つひとつをしっかりインプットさせておきます。

次は、「説明を受ける」・・・山本五十六の「言ってきかせて」
やってみせた後は、マニュアルに沿って丁寧に説明してください。
説明したことだけで満足してはいけません。
大事なことは、新入社員が理解できたかという点を確認しておきましょう。
説明したことを、逆に新入社員に自分の言葉で語らせてみてください。

ブラザー・シスターが新入社員に「わかりましたか?」と聞くと、新入社員は「はい、わかりました」と返答することが多いでしょう。
 
しかし、「はい、わかりました」は、本当にわかったのでしょうか?
単にオウム返しで「はい、わかりました」と言っている場合が少なくありません。
 
そこで、理解を確かめるために、説明したことを、逆に新入社員に自分の言葉で説明させてみるのです。
わかっていれば説明できますが、わかっていなければ「・・・」無言が続いたり、曖昧な説明をしたりします。
そのときは、改めて説明が必要だと考えてください。

いくら丁寧に説明しても、新入社員が理解できていなければ、失敗したり、間違った業務になってしまったりしますので、このステップは非常に大事です。
このステップで新入社員が理解できていない場合、腹が立つかもしれませんが、そこでイラっとする前に、新入社員がわかっていないのは、ブラザー・シスターの説明の仕方に問題があるかもしれません。
自分のコミュニケーションを見直す機会にしてもらいたいと思います。


そして、「実践する」・・・山本五十六の「させてみて」
やってみせ、言ってきかせた、次は、新入社員にやらせてみます。
新入社員が頭で理解できたとしても、実践できないことはよくあります。
理解することと、出来ることは違いますから。

このステップでは
① 先輩と一緒に実践する。
② 先輩に見守られながら新入社員が実践する。
に分けています。

まずは一緒になって、させてみる。
次に一人で、させてみる。
ただし、一人でさせてみるときも、ブラザー・シスターや先輩が、新入社員のそばについておいてください。
接客業の場合、失敗はクレームに直結します。
また、製造現場や工事現場の場合、失敗すると場合によっては、大ケガをします。
最悪の場合には命にもかかわります。
新入社員一人に任せる時期は慎重に考えてください。

最後は、「完了」確認で褒める・・・山本五十六の「ほめる」
褒めるというのは、何も甘やかすということでは決してありません。
努力して取り組んでいるその姿勢をポジティブに評価し、認める!ということです。
出来て当たり前という態度で、何も反応しないのは新入社員にとっては不安で仕方ありません。
「OK、大丈夫だよ」と一言添えるだけで、とても安心します。

業界経験がない新入社員の場合は、紹介しているチェックリストの、この手順はとても大事です。
簡単なこと、小さなことでも確実にステップを踏んで(スモールステップで)、次に進めている、その感覚を感じることができます。
そうすると自信になります。

業務に関する専門資格や免許をすでに取得している新入社員も、基本同様に進めますが、未経験者と比べると課題の習得は早めに終えることができるでしょう。
ただ、有資格者だから「できるでしょう」「わかっているはず」と決めつけず、一つひとつ丁寧に確認してください。
中には、苦手な課題があり、不十分な状態かもしれません。
チェックリスト

職場全員で新入社員を育てる~三方よしのツールの活用

ツールを使う理由を説明します。

1.新入社員の習得課題が具体化できる
新入社員が覚えることは、たくさんあります。
何を、いつ、どの程度まで覚えるのかわからない、漠然としていれば、大きな不安となり、大プレッシャーに襲われますので、それを解消する必要があります。

新入社員が今、何を習得するかをわかるようにしておく、今やるべきことを具体化して絞って、習得課題の数を少なくしておきます。
そうすることで、新入社員の不安は小さくなり、気持ちも楽になります。
習得すべきことに集中できますので、覚えも早くなることでしょう。

2.育成方法が標準化できる
同じ職場でも、ブラザー・シスターの担当者が変わると次のようなことが起きたりします。
A先輩はX・Y・Zの順番で指導、B先輩はY・Z・X、C先輩はZ・Y・Xの順番で指導しようと考えているとします。
新入社員の能力やタイプによって教える順番を多少変える必要があるケースも出てきますが、ブラザー・シスターの担当者がその都度指導順番や内容を考え準備することは、かなりの労力と時間がかかります。
一定の手順をツールとして、あらかじめ用意しておくことをお勧めします。

また、ブラザー・シスターが新入社員と常に一緒の勤務シフトであればよいのですが、職場においてはそうでないこともあります。
その日その日で指導する先輩が違い、教える順番が変わると新入社員の頭の中はごちゃごちゃになります。
まだ体系的な理解ができていない新入社員は整理できず、混乱してしまうでしょう。

教える順番を考えている先輩ならまだしも、目の前のことを場当たり的に秩序なく指導する先輩の場合は、パニックになり、頭真っ白、思考停止になる新入社員も出てきます。
そうならないよう、誰が指導しても同じ手順になるように標準化しておきましょう。

3.見える化できる
見える化のいいところは、共通理解ができ、誤解が少なくなるところです。

① 新入社員自身に今の進捗が見えます。
自分が、「今取り組んでいる課題」が、出来ているのか、出来ていないのか、ブラザー・シスターがその都度評価することで、新入社員自身も客観的につかめます。
その時期の、チェックシートの習得課題ごとに
 
〇…出来ている
△…十分とはいえない
無印…まだ取り組んだり、実践したりしていない
 
その印を見ると
〇がつくと、自信になります。
△の場合、新入社員が出来たと思っていても、ブラザー・シスターからはまだ不十分と評価されれば、どこが、どのように不十分だったのかを尋ねて知る機会になります。
職場が求めている基準を新入社員のときから理解できます。
無印は、次のステップ課題としてとらえ、準備ができます。
または、一から勉強しなおしした方がよいという理解ができます。
または、そのように指導します。

② ブラザー・シスターにも、新入社員の今の進捗が見えます。
ブラザー・シスターが、これはもう、新入社員は出来ているはず、これは伝えたと思うのでやれるだろう、という思い込みはよくありません。
ツールを使い、新入社員とブラザー・シスターが同じものから情報を共有すれば思い違い、認識のギャップをなくせます。

しかし、新入社員とブラザー・シスターの1対1だけではツールは使い切れていません。

③ ツールを使うことで職場の同僚スタッフにも、新入社員の進捗を見せます。【重要】
ブラザー・シスターが不在で新入社員一人のときには、同僚スタッフが新入社員に指導することになりますが、新入社員の進捗を同僚スタッフが知らなければ、新入社員がまだ出来ていない、まだ取り組んでいないことも、出来るだろうと勝手に判断してやらせてしまうことがあります。
そして、新入社員が出来ない、ミスをすると、怒ったり、叱責したりすることがあります。
この状況は新入社員には酷です。
 
図6.三方よしのツール活用

ツールであるチェックリストから新入社員の進捗を知っていれば、適した業務をさせたり、フォロー・サポートしたりできます。
同僚スタッフへも情報共有し、思い込みをなくせば、イライラや不満は小さくなり良好な関係が築けます。
ぜひ、新入社員とブラザー・シスターだけではなく、職場の同僚スタッフも一緒に使ってみてください。


最初、チェックリストなどツールを作成するのに少し苦労しますが、作ってしまえば後は楽! 
ブラザー・シスターも、その他先輩社員もその都度考えなくてよくなり、その後は小さな修正を繰り返すことで、よりあなたの職場にあったものとなります。
今、あなたの会社でツールを使っている場合、職場の同僚がそこに書かれている情報を把握できているか確認してみてください。
新入社員を職場全員で育てていくために、関心をもってもらうことができます。

新入社員の離職を防止する最も大事なコミュニケーション~よい人間関係が築けている職場は実践している

出来ていそうで出来ていない「挨拶」~漢字の意味ご存知ですか?
あるとき、プライベートで新社会人と会話をしていると次のようなことがありました。
 
新社会人「仕事は好きだけど、給料がやすいのが少し不満。友達は給料を私より多くもらっていてうらやましい」
私「じゃあ、転職を考えてみれば?」
新社会人「一から人間関係を作りなおすの?止めときます」
 
いかに、人間関係を重視しているかわかります。
新入社員の定着に上司や先輩社員との良い関係は非常に大きなポイントです。
それには、コミュニケーションは欠かせません。
そこで、良い人間関係を築くコミュニケーションを考えてみます。
コミュニケーションといってもいろいろな方法がありますが。
今回は基本中の基本、「挨拶」を取り上げてみましょう。

なんだ、挨拶ぐらいしている、と思われた方も多いのではないかと思いますが、果たして、出来ているでしょうか?
企業研修では、出来ていそうで出来ていないと、あえて指摘します。

例えば、朝の挨拶で「おはようございます」と声は出していると思います。
相手の鼓膜を揺らして、聞こえていると思います。
しかし、これは本当の意味の「挨拶」ではありません。
あなたは、「挨拶」という漢字の意味をご存知でしょうか?
「挨」も「拶」も、同じような意味をもっていて、近づくとか、迫るという意味です。
目もあわさずの挨拶。
何かをしながら、下向いたり、あっち向いたり、こっち向いたりして「おはようございます」と言われても、ただ機械的に声を出すだけ。
漢字が示す意味、「近づく」ことにはなっていません。
これでは良い人間関係を築けません。


アイコンタクトをして初めて挨拶と言えるのではないでしょうか。
その時間は、1、2秒です。それを惜しんではいけません。

 
ただし、サービス業の現場では、お客様と応対中であれば、毎回社員とアイコンタクトした挨拶ができるかといえば難しいかもしれませんが、アイコンタクトをしようという意識をもつことが大事です。

新入社員に対してだけではなく、社員間でもアイコンタクトをとった挨拶をしましょう。
アイコンタクトをとると相手が普段と変わりはないかが見えます。
容姿は乱れていないか、しんどそうではないか、いつもと違っていれば、そのときに声をかけてみましょう。
「大丈夫? 少し体調悪そうにみえるけど」
この一言があるかないかで大きな違いです。
特に、新入社員の場合は、しんどいことをなかなか言い出しにくいものです。
また、場合によっては、新入社員自身が疲れていること、体調の変化を気づいていないかもしれません。

良好な関係を築き、働きやすい職場をつくるためには、コミュニケーションは欠かせません。
その基本中の基本、アイコンタクトをとった挨拶は非常に効果大です。
ブラザー・シスターと新人との間だけではなく、職場の皆でやることがポイントです。
新入社員は職場全員で育てる。
そのためにも必要なことです。

まとめ:新入社員の定着・育成に最適な『ブラザー・シスター制度プラス』で貴社のさらなるご発展を

新入社員の定着・育成の方法として、ブラザー・シスターによる1対1での指導・育成に加え、職場の同僚を巻き込みながら全員で育てていく方法の一部をお伝えしました。
冒頭説明しましたが、労働力人口減の時代にもう既に入っており、今後ますます厳しくなっていくことは必至です。
就活生や求職者に対して、わが社は、新入社員を定着させ、育てる仕組みがあるということを訴求してみてはいかがでしょうか。
そのときに、最近の若者が特に意識する職場全体の関係性のよいことを付け加えることが重要なポイントと思います。
企業存続の最大の課題である新入社員の確保、定着・育成において、あなたの職場でも『ブラザー・シスター制度プラス』を取り入れて、貴社のさらなるご発展につなげていただければと願っております。

人事コンサルタント・社会保険労務士として、企業の人材育成や人事マネジメントのお悩みに関する相談をお受けし、コンサルティングや企業研修の活動をしております人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表の鷹取敏昭(たかとりとしあき)が解説させていただきました。

このコーナーでは、専門家によるコラムをお届けしています。

講師からのメッセージ

TOSHIAKI TAKATORI鷹取 敏昭

                           

社員(職員)の持てる能力を十分に引き出すための知識やノウハウを現場に落とし込み、人づくりを風土としてもらいたい。
そのためには管理職が人事マネジメントの基本を知り、真摯な姿勢で部下に向き合う努力をしてもらいたい。

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