採用戦略としての定着率改善~新入社員に響く「入口」の仕掛け

採用戦略としての定着率改善~新入社員に響く「入口」の仕掛け



はじめに~定着率は、採用戦略に欠かせない重要な要素

労働力人口激減に向かう時代、人材の獲得、定着は企業の最大の課題ですが、人材の獲得は、新入社員の定着があってこそ効果が出るのではないでしょうか。
今回は、定着率に効果的な新入社員に響く「入口」の仕掛けをご紹介しましょう。


定着率改善のカギ~welcomeで迎える新入社員

「他の誰でもない、あなた」というメッセージが定着化の前提

新入社員に持っているパフォーマンスを十二分発揮させるには、安心できる職場、信頼できる上司や先輩達に囲まれていることが、最近は非常に重要な要素だと思います。

そして、
「私たちのチームにようこそ!
これからわが社の目指していることを一緒に実現していきましょう。
(名前)〇〇さん、あなたと一緒に!」
(名前は以下、「木下一郎さん」とします。)

特に、他の誰でもない「木下一郎さん、あなたと一緒に!」
このメッセージを実感できるほどに伝えられるかが、新入社員の配属後、最初のポイントです。

「新人さん」という呼び方は、そこの誰でもいいという表現

「新人さん」という呼び方は、そこの誰でもいいという表現
職場では、新入社員がいつから、どの配属で入ってくるかという情報は伝えられていると思いますが、それだけの情報であれば次のようなことになっていませんか?

「新人さん」という声掛けをする先輩社員。
結構見かけますが、新入社員にとって、よい印象はもてません。
「新人さん」という呼びかけを続けてしまうと、「欲しいのは人手で誰でもよくて、別に私でなくてもいいんだ」という感じを持たせてしまいます。
呼んでいる先輩社員も、そう思っていなくても、自然、誰でもいいという感覚になってしまいます。
「新人さん」ではなく、配属初日から「(例)木下さん」と名前で呼んでください。
あなたも「そこの人」と呼ばれ続けられたらどう思いますか? 
新入社員も同じです。

実際、配属される前に、あらかじめ知っておいて欲しいことは、名前(氏名)や新人の特徴です。
“誰かが”ではなく、
「私達の課に、〇大学の□学部卒業、◇部で活躍した木下一郎さんが、1週間後の5月1日に配属されます。得意分野は△△だそうですので期待しましょう」
新入職員へ関心をもつためには、少なくともこの程度の情報は必要だと思います。

「welcomeメッセージカード」は新入社員に響く定着率改善の仕掛け

迎え入れる先輩社員は、新入社員の1人又は数人を覚えればよいのですが、
新入社員は、担当する業務のことに加え、上司やたくさんの先輩社員の名前や顔など覚えることがいっぱいです。
固定客のいる事業所ではお客様も覚えなければいけません。

私の体験談を紹介します。


新入社員として、執行役員と課長が近くにいる場所へ配置されたときのこと、2人とも同じような年恰好で似ていたため、どちらが役員で課長か、最初は区別がつきませんでした。
その2人が会話しているのを聞いていて、フランクで言葉が少し横柄に聞こえる方を当初、私は役員と思っていましたが、実は課長でした。
新入社員にとっては、誰が誰だかわからないという例でしたが、あなたも似たようなことはなかったでしょうか?


そこで、
「木下一郎さん、あなたと一緒に仕事をしたいのでよろしく!そして、私達のことも覚えてください」
という思いを伝える手段としてお勧めしているのが「新入社員向けのwelcome メッセージカード」の作成です。
見本をご覧ください。
welcomeメッセージカード

名刺大の用紙に、新入社員「木下一郎さんへのwelcomeの言葉」と「特徴をもたせた簡単な自己紹介文」を書き、「写真」を貼り付けます。
そして、先輩社員一人ひとりが、そのカードを新入社員へタイミングを計りながら声をかけ渡します。


新入社員は、上司や先輩社員の顔と名前が一致するのはとても助かると思います。
また、特徴が書いてあることで、身近に感じ、名前と顔をより覚えやすくなるでしょう。

逆に、先輩社員からすると、新入社員に声をかけるきっかけができます。
最近は特に、ジェネレーションギャップで話が通じないという意見もありますが、最初からコミュニケーションが取れないと諦めるのではなく、「共通点」を探してみてください。
趣味が同じや出身地が一緒、子どもと年齢が近いなどで、その話題を拡げられれば、ジェネレーションギャップも小さくなるのではないでしょうか。

A4タイプの名刺フォルダー(替紙)と職場内配置見取り図を、新入社員へ一緒に渡しておくとより覚えやすくなるでしょう。

写真についての注意点を一つ、また私の経験談です。


社内サーバーに社員の名簿と顔写真を載せていて、全社員が閲覧できるシステムがありました。
あるとき、部門を超えてコラボするプロジェクトがあり、初回の打ち合わせがありました。
新入社員の私も参加することになり、冒頭紹介されましたが、先輩達は当然顔見知りであるため挨拶もそこそこにすぐ本題に入り、あっという間に初回打ち合わせ終了。
私は名前を覚えきる前に終わったのですが、社内システムで確認すればいいと思っていました。
しかし、打ち合わせのときの顔を思い出し、社内システムの写真を探したのですが、いくら探しても見当たりません。
あとでわかったことですが、社内システムに載っている写真は、かなり以前のスリムで若々しい姿。
打ち合わせの時は、体重大幅増加で、貫禄ある容姿。
思わず「これ違うでしょう!」と叫んでしまいました。

何を伝えたいかというと、
「welcomeメッセージカード」に貼る写真は、最新のものにし、加工修正などもしないようにしてください。(笑い話で会話が拡がればよいのですが)


配属当日、新入社員を放ったらかしにしない!

配属当日、新入社員を放ったらかしにしない
 
新入社員を指導教育する担当者を決めておき、その者のスケジュールの中に、新入社員指導時間を確保しておくことも欠かせません。
新入社員の配属当日、バタバタして指導時間がとれなければ、新入社員は放ったらかしの状態になります。
配属当日に「しっかり指導してくれるのか不安」を感じさせてしまってはいけません。
小さなことだと思われるかもしれませんが、新入社員にとっては大事な初日です。
あなたも新入社員のときがありました。
その当時のことを思い出してみてください。

■関連記事
新入社員の定着・育成に関する私の別コラム『ブラザー・シスター制度プラス』も、ぜひご覧ください。

まとめ:難しくない採用戦略!少しの工夫で、あなたの職場でも取り組める、定着率を上げる「入口」の仕掛け

難しくない採用戦略!少しの工夫で、あなたの職場でも取り組める、定着率を上げる「入口」の仕掛け
 
入社という「入口」に焦点をおいた新入社員の定着の仕掛けを紹介しました。
新入社員の配属という「入口」部分で、落ち着いて安心できる環境を作るために、

・「新人さん」ではなく、名前「木下一郎さん」で呼ぶ。
・写真付きのwelcomeメッセージカードを作成し、声をかけながら渡す。
・新入社員の配属当日に指導教育担当者のスケジュールを確保する。

新入社員をwelcomeで迎え入れる工夫です。
ちょっとしたことですが、効果は小さくありません。

採用戦略というと難しく聞こえますが、少しの工夫で取り組めますので、あなたの職場でも、ぜひ取り組んでみてください。
他社との差別化を、社内の人事マネジメントでも図ってみると、定着しない、採用が難しいという流れが変わってきます。

ただし、誰か一人が取り組めばよい、システムだけ作ればよいというものではありません。
職場の多くの者が協力し、取り組むことで初めて大きな効果が出てきます。


人事コンサルタント・社会保険労務士として、企業の人材育成や人事マネジメントのお悩みに関する相談をお受けし、コンサルティングや企業研修の活動をしております。
人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表の鷹取敏昭(たかとりとしあき)が解説いたしました。
ご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
あなたの職場でできる工夫を一緒に探します。
よろしくお願いいたします。

このコーナーでは、専門家によるコラムをお届けしています。

講師からのメッセージ

TOSHIAKI TAKATORI鷹取 敏昭

                           

社員(職員)の持てる能力を十分に引き出すための知識やノウハウを現場に落とし込み、人づくりを風土としてもらいたい。
そのためには管理職が人事マネジメントの基本を知り、真摯な姿勢で部下に向き合う努力をしてもらいたい。

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